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外羽根式1-6:ウェルト(押し縁)の掬い縫い

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「ウェルト(押し縁)作成」
さて、いよいよ「ハンドソーンウェルト」な作業に入ります。
ココからは暫く力仕事が続きます。
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準備としてまず、ウェルト(押し縁)を作ります。
ウェルトには主に、平らなものと、片側が斜めに漉かれたものとがあり、それぞれ中底の面取りの形状に合ったものを使います。
今回は面取りを斜めにしたので、後者のウェルトを使用します。

本底を縫い付けてから、出し縫いの糸と一緒に染めても良いのですが、先にやった方が楽なので、僕はこの時点でウェルトを染めています。
(1)銀を掻く
染料が入りやすくするために、ガラスを用いて銀を掻きます。

(2)ギザギザ
ウェルトに目付けをして、ギザギザを入れます。
後の作業、出し縫いの糸間隔を意識して、彫刻刀等でギザを入れていきます。
コテ(ウィール)を使う場合、この作業は不要。

(3)染め付け
「早染め」(着色)→「コバインキ」(艶出し)の順でウェルトに色を入れます。→乾燥


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「糸作り」
麻糸(9本子)を使用して縫いますが、糸が太いので先端を細く加工します。
画像参照
(1)9本撚りを1本づつ解く。
(2)更に糸の撚りを戻し、無撚りになった所で、すっと引き抜く。(9本とも)
(3)4本と5本に分け、それぞれにチャン(松脂と油を混ぜたもの)を塗る。
(4)撚りを入れなおす。
4本と5本それぞれに撚りが入り、更にそれら2組を拠ります。
膝の上で糸を掌で押さえ、ゴロゴロ手前に転がすといっぺんに撚りが入ります(要練習)

マメ知識
糸の撚り数の呼び方
1本=単糸(たんし)
2本=双糸(そうし)
3本=3本子(みっこ)
4本=4本子(よっこ)
5本=5本子(ごほんこ)
6本=6本子(ろっぽんこ)




あまり一般的ではないかもしれませんが。。。
編み物をやる人はご存知ですかねぇ?


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「掬い縫い」
いよいよ掬い縫いです。
中底加工の際に開けた穴をガイドにし、ウェルトを穴の出口に押し付けながら掬い錐を素直に通して穴を貫通させます。
掬い錐を抜くのと同時に、外側から縫い針を通します。この時、掬い錐の先端を追いかける感じで針を通していくと作業がしやすいです。
その後内側からもう片方の針を通して、クロスステッチを繰り返し。
ひと目ひと目力いっぱい締め上げるので、素手で作業すると指が悲鳴をあげます。グローブか指サックなどを併用しましょう。
力いっぱいといっても、力任せではなく、ウェルトをアッパーにぎゅっと密着させるのが肝心です。
両方の糸をぎゅっと締め上げて、さらにウェルトを外側から押しながら、内側へ向かう糸を締めるといった感じですが、コツを掴むと一連の作業を同時に出来るようになると思います。

また、爪先などのカーブの強い箇所は、内側の穴が繋がってしまうことがあるので、そんな時は内側に出来た縫い糸のループの中に、短い糸を噛ませながら縫っていくと良いです。

言い忘れましたが、縫い針は掬い錐のカーブに合わせて曲げておきます。
コンロであぶり、赤くなったらワニでグニャっと噛むと、それに近いカーブになると思いますが、調整してください。
その後再びあぶり、水の中に突っ込んで焼きを入れます。

*毛針や、それに準じた物(テグス、釣り糸等)を使うこともあります。お好みで。。。

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「ハチマキ」
掬い縫いが終わったら(縫い終わりは内側でしっかり結ぶ)、ウェルトがない踵部分にハチマキと呼ばれる革のテープを取り付けます。
ハチマキは内側へ向かって薄く漉いておきます。(既にその状態で市販されているものもあります)
また、踵のカーブに沿わせるべく、刻みを入れて曲げやすくし、貼り付ける前にハンマー等で叩いて癖付けをしておきます。
ハチマキの役割は、主には底面に出来た凸を緩和(平らに近づける)することにあります。なので、本底を付けた後、ヒールを積み込む前にハチマキを取り付けることもありますが、先にハチマキを付ける場合には、踵部の形状を調整し、本底を綺麗に付けやすくする働きも加わるので、今回は先付けすることにします。
ハチマキは混合糊とペースを併用するので、まず踵部の接着面の銀をヤスリで荒らします。この際、ヤスリを往復運動で掛けるのではなく、外から内へ向かって掛けないと、余計な部分の銀まで削れてしまうので注意が必要です。
一方で、ちびちび銀を取ると接着力が弱くなるので、大胆かつ正確に!中底のエッジをその範囲として、しっかりヤスリを掛けます。

混合糊(釣り込みよう接着剤)を双方に塗り、ハチマキを貼り付けます。
その後、打ち込み錐で下穴を開けて、ペースという木の釘で固定していきます。下穴はしっかり開けないと、ペースが折れますので注意が必要です。
ペースには所謂釘の頭がありませんが、水分を吸収し膨張して釘の役割を果たすというのが理屈です。なので、ペースを打ち込む時は、何度も叩くと穴が押し広げられるので、出来れば一発で決めたいところです。


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「シャンクバネと中物(なかもの)」
中底の踏まず部にシャンクを入れます。シャンクは踏まず芯ともいい、文字通り踏まず部の芯となります。
シャンクの種類は、金属のほか、革(ベンズ)や竹、或いはファイバーなどがあり、それぞれ一長一短はありますが役目は同じです。
シャンクの役割は、例えば、フニャフニャと腰のないの靴底で、重たく高いヒールをつけたサンダルを作り、それを履いて歩いた場合に、シャンクを入れた時と、入れなかった時とを想像してみると分かると思います。

シャンクをセットしたら、ウェルトの面の高さに合わせて、中底の凹部を中物で埋めていきます。
中物には粉コルクに松脂、あるいは水溶性ボンドを混ぜて作る練りコルクや、コルク板などが使われていることが多いと思いますが、フェルトやスポンジ等も使うことがあるようです。
中物の意味は、中底と本底の隙間を埋めることなので、空気の塊のようなスポンジ等は、中物の意味がないと思うんですけどねぇ。。。

いずれにしても、少な過ぎず多過ぎずの分量で、中物を詰めます。
画像右のように、踏まず部分に山を作っておくと、本底にも山ができ色気のある表情になります。
但し、これは見た目の問題ではなく、しっかりと機能があります。
例えばハガキが2枚あり、1枚はタテに折って山を作り、1枚はそのまま。
さて、ヨコに折れやすいのはどっち?
ってな話です。

以上、今日は疲れました(^^ゞ

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カテゴリ 底付け作業

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